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 トム・ベンジャー演ずる狙撃手・トーマス・ベケット上級軍曹が、世界各地に行っては哀愁漂わせつつ鉛弾をぶち込むシリーズである。原題はそのままずばり、『SNIPER(2,3)』山猫は眠らない等と言う邦題を考えた奴はなかなかセンスがあるな。今だと、何処ぞのリボルバー遣いを想起させるのが問題だが。
 さて、内容であるが、最初に言った『~をぶち込む』と言うのは随分端的にはっちゃけた言い方であり、これをしてベケットはセガールかシュワちゃんか等と思ってはいけない。

 寧ろそう言った肉密度1000%なハリウッド映画とは真逆の、深く静かに進行する映画である。

 それでは、シリーズ最初から感想を述べて行こう。

 一作目の舞台はパナマで、相手は麻薬王。熟練の狙撃手ベケットは、任務の為なら非情になれと命ぜられた特務の青二才ことミラーを相方の観測員とし、狙撃の為ジャングルを進む。

 物語はこのベケットとミラーの人間、軍人としての生き方を対比させて描きつつ、じっくりと進んで行く。アクションに派手さは無いが、常に引金に指が掛かっていて何処から撃たれるか解らない様な緊迫した雰囲気が醸し出され、とは言え完璧に遊びが無いかとそんな事は無く、緊迫感の中でベケットの静かなる神業が光るアクションだ。

 この辺りが普通のアクション映画とは一線を画し、なかなか秀逸である。あえて難点を言えば、吹き替え版が存在しない上に字幕が偉い下手で、ストーリーが少々解り難い事か。

 二作目の舞台は東欧で、得物はテロリストに組する政治家。相方は、かつて(実は汚職を行っていた)味方を殺した罪で死刑となった陸軍で、黒人のコール。

 狙撃自体はあっと言う間に成功し、そこからの逃亡及び狙撃に隠された政府のもう一つの任務が焦点となる。

 第一作と比べると路面電車がパトカーを引くわ、戦車は出てくわとアクション的に豪華になっている反面、脚本的に細部が疎かになっている感は否めない。それでも、緊迫した雰囲気は未だ残っており、政治犯パウェルと対比させた殺しを生業とする軍人としての在り方を描いたストーリーは(前半出番皆無、後半からの絡みなので、余り生かし切っているとは言えないが)良くもあり、また哀しい。一作目において、退職して故郷で生きたいと言っていた彼が、結局そのサガ故に、狙撃手として戻って来た、しかも一作目で負傷した人差し指では無く中指を使って、である。何と不器用だろうか。

 個人的には舞台もあって、小説版のAvalonを見ている気分だった。映画版だと、アッシュの実力は余り描かれなかったが、小説版における狙撃手としての腕は凄まじかった。

 そして三作目。今の所これがラストの話である。舞台はベトナムで、標的はCIAの極秘任務に付いていたが裏切り、ベトナムに滞在する元米国人で、実はベトナム戦争時におけるベケットの恩人である。相方は地元警察。

 はっきり言って、これは微妙だ。フラッシュバックの多様、BGMがヒップホップ、相棒警官(ベケットもかなりだが)のジョン・ウーばりの射撃と格闘シーン、取ってつけた過去設定等、見ている者に対する媚が強い。時代が変わった、と言えばそれまでだが、しかしそれにしてもこの変わり方は違うと思う。二作目も確かにその傾向はあったが、これ程では無かった。

 ただ、肉体的にも精神的にも老境に達したベケットに垣間見える、命の恩人を撃たなければならないと言う人間と軍人としての葛藤、そして哀愁は実にらしくて良かった。そこをもっと突き詰めれば良かったものを。まぁ余り一般受けはしないだろうが。

 以上が各々の作品の感想であるが、毛色はかなり違うとは言え、シリーズを一貫して見られるのは、トーマス・ベケットの哀愁漂わす男の美学であり、時に父親の様に若者を叱咤し、時に軍人としてのサガに身を委ね、時に人間味を出しながらもしっかりと過去を清算する。その様は、成る程確かに格好良く、マニアックなファンが多いと言うのも頷ける話だ。

 狙撃手のアクションとしては、正直どれ程精巧かは良く解らない。と言うよりも、あえてその辺り(狙撃点がどうこうだとか)を端折っている気がする。ただ、それでもその雰囲気はかなり伝わって来て格好良い。だけでなく、一作目で負傷した人差し指の代わりに、二作目以降から中指で撃つと言う小ネタがあるのも個人的には素敵だ。まぁ、三作目のラストシューティングはちょっとやりすぎだと思うが。それならいっそ、対戦車を見たかった。ツィタデルだぁやばいぜどぅすぅんだよぅっ!!!!

 そう言う訳で山猫は眠らないシリーズ。ストイックな男様を見て格好良いと思える人間、狙撃手が出ている娯楽映画(真面目に作ってあるとは言え、アクション部分はかなり娯楽だ)が見たい人間は是非見ると宜しい。

 お勧めは一作目で、二作目は派手さが足りない、ベケットの活躍がもっと見たいと思った人間が見るべきだ。三作目は、それでもまだ活躍が見たいと言う人間だけが見る方が賢明である。

 因みに四作目は、無いな。と言うか、作っちゃ駄目だ。不満はアリアリであるが、それでも老兵ベケットを描いた三作目で潔く終わるべきだ。これ以上やる気なら、過去に戻るしか無い。トム・ベンジャーで無くなるがな。
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