上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2007.05.03 es
 数年前に、その内容からちょっと話題になった映画である。知らなかったが独逸映画で、原題は『Das Experiment』(実験)。丁度バイト先で見かけ気になってた所ギャオでやっていたので見た。
 まぁ何とも病んだ作品だった。面白い、面白くないを通り越して、ある種の葛藤、抑圧感が引き起こされた。

 それは、映画の中で起こった惨劇は元々実験である、と言う事に起因する。

 確かスマステでだったか、おすぎが「こう言う結果になるのは解りそうなのに何でこんな実験やるかな」等と言う、映画の内容にも関係無ければ、実験と言うものを解っていない頓珍漢な発言をしていた事があった。だが、ある意味では正にその通りなのだよな。

 もう少し考えれば、真剣に考えれば、あの様な惨劇等起こらなかったのでは無いか。教授が助手の話を聞いて、早くに中止を決めていれば、或いは被験者達も冷静になって考えて自重しておけば(貴社の主人公も、ネタ欲しさに暴れなければ)結末は変わったのでは無かろうか。

 と、見ている側は思うのであるが、極限の環境に追い込まれた人間がどの様な行動を取るかを調べたい教授は実験を続行し、被験者達も周りの環境に呑まれ、己の役割を忠実に演じて行った。

 そして惨劇。見ている側はこれは金を貰ってやってる実験なのだから、何時でも止められると言う事を知っている。だが、誰も止めようとしない。法律に当てれば間違い無く犯罪である様な行為をしても、誰もそれを省みない。環境、状況が違う観客は、おいおいもう止めとけよ、と思うのだが、登場人物達はどんどんエスカレートして行く。

 これは他の映画では見られない。例えば『SAW』なんかは、行き成り拘束された状態で眼を覚ます。本人の意思等お構いなしに行き成りだ。だが『es』では同意の元で実験が成される。本人の自由意思によって決定される訳だ。

 自分達で命の危険は無い、暴力は行使しないと言う実験に参加しておきながら、己の役割に嵌って行き、禁じられた暴力に手を出す。誰も強制等していないのだから止められるだろうに、と思っても止めない。だから更に惨劇の責任を、誰が悪かったとする事も出来ない。そこに生まれるジレンマが、見ている側の胸の奥に重石の様なずうぅんと言う不快感を与えてる。その意味で『es』はこの実験の本質、人間は容易に環境に左右され、与えられた役割を忠実に演じて行くと言う事実を伝える事に成功していると言えよう。

 ただ、最初に面白い、面白くないを通り越して、と言った通り、映画、サスペンスとして見ると少々微妙だ。主人公が密閉空間から脱出する重要な場面等説明不足にも程があるし、彼と行きずりの恋人との関係も微妙で、正直蛇足気味。一期一会で出会った者達が愛し合う、同じ様な者達が状況によって嫌悪し合うのとは別に、と言う事を書きたかったのかもしれないが、わざわざあんな風に出す必要は無い気がする。まぁ、ラストシーンの曇り空の海岸の場面を見て救われた思いがしたので彼女自体は要るのだが、もう少し出方、役割をちゃんと設定して欲しかったか。

 まぁどちらかと言うと娯楽性よりテーマ性の方が強い作品なので、万人には勧め難いが、興味があれば一度見てみるのも良いだろう。後、Mの方は泣いて歓ぶと思われるので、是非。
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://tasogaremignon.blog79.fc2.com/tb.php/350-ecfd3eba
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。