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 先日漸くベルベットビーストを読み終えた所で、ジャック・ヨーヴィル=キム・ニューマン先生のウォーハンマー三部作の最初、『ドラッケンフェルズ』の感想をば。読み終えてから最も時間経過しているので細部微妙なのはご愛嬌。
 と言う訳で感想だが、いやぁ実に面白かったっ。

 まず行き成りドラッケンフェルズとのラストバトルから始まり、飛んで二十五年後。悪の魔法使いを倒した事を記念しての劇が行われる事になったのだが、その最中様々な怪奇が起こり始め、やがてかつての討伐パーティが何者かに次々と殺される惨劇が巻き起こる。

 この様なあらすじ自体は割りとありがちであり、オチも(少し捻られているが)何となく解るだろうが、その描き方が秀逸。色んな登場人物達が次々に現れ、視点を変えながら、短編形式で進んで行く群像劇の様が素晴らしい。表現豊かな文章から紡ぎ出される魅力的な幾多人々のエピソードから、世界の広がりを感じる事が出来る。元になったTRPGの設定を知らないにも関わらず、それを肌で感じられる様だった。ウォーハンマー今作は紀元より前に書かれたものだそうだが、この時点で彼の作風というのは出来上がっているのだな。

 それから、ドラキュラ三部作で理の魂を一発で鷲掴みにし、多くの読者の心を魅了して離さない上にキム実は日本人なんじゃね?と言わしめた、最強の人外ロリババァ或いは齢六百三十八歳の美少女吸血鬼ジュヌヴィエーヴ・デュドネことジュネの存在を忘れてはなるまい。

 その年齢からも解る通り、ドラキュラ三部作のジュネとは別人であるが、達観していながらそれでも苦悩を抱え、愛くるしさと聡明さを一緒に持った永遠の美少女として、今作でもその魅力は変わっていない。

 ただ、今作の相方であるデトレフ・ジールックが芸術家肌で、良くも悪くも人間的成熟さに欠けている感じが強かった所為で、ジュネは大人としての立ち振る舞いを強いられていた気がする。決してそれは悪い事では無いのだが、個人的には紀元及び崩御の実質的主人公で冷静沈着な頼れる(そして何処か抜けている)英国紳士チャールズ・ボウルガードとの組み合わせの方がしっくり来たかな。それでも最後の最期で面目跳躍という所か。少しずれてはいるが、また王道的流れに血沸き肉踊ったものだ、あのクライマックスには。いや、虚構と現実の総意を今作のテーマだとすれば、正しく妥当だと言えようか。

 そういうわけでドラッケンフェルズであった。元の設定を知らなくても十二分に愉しむ事が出来るので、興味が出来たならば是非読む事をお勧めする。
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