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2008.01.07 サラマンダー
 祭り最後は、『サラマンダー』だが、偶然にもGATS氏が少し前に借りて見たそうな。

 ただ、どうにも微妙だったらしく、割と気に入っている理としては少し残念であったので、今回は二回目もあり、その様な見たけど期待外れで面白くなかった人と、ネタバレされても気にならないという人の為に、面白そうに、また実際どうやって見るか解り易い様に大いなるあらすじを込めて感想を書いて行こうと思う。

 かく言う訳でネタバレしか無い為、上の様な人以外は見るのを止めた方が心の平穏の為だ。
 さて今作だが、予告やジャケットを見ると、軍隊対火竜という様相を呈しており、最新式の戦車や軍用ヘリの掃射を掻い潜って襲い来るサラマンダーの群れという様な凄まじい映像が見られるものかと大変期待出来るのだが、そんな事は全く無い。全く無い訳では無いがそれを期待して見ると、GATS氏同様拍子抜けするだろう。

 ならばこのサラマンダー、どの様な作品かというと、最初に見た時も思ったが、現代を舞台にした竜退治の物語(ドラゴンクエスト)であり、終末世界の物語(ファイナルファンタジー)であり、浪漫溢るる物語(ロマンシング・サガ)であり、要するにRPGである。

 では具体的にどうなのかを、順に書いて行こう。

 まず物語は、主人公クインの子供時代から始まる。プロローグであり、この時点では特に戦闘も無く、サラマンダーも顔見世程度。描かれるのはその復活とクインの母親の死、それに伴うトラウマだ。最初に魔王乃至諸悪の権化の活動の開始と主人公の行動原理を描くのは良くある手法である。

 そして時は移り、現代の英国(ただし、年代は2020年)。蘇ったサラマンダーは、その恐るべき火力と旺盛な繁殖力で一気に地上を殲滅。人間側も核兵器で応酬するも効果は無く(これは核の衝撃に耐える程の物理防御力というよりも、その繁殖力に寄るものだろう)ただ世界を荒廃させる事しか出来ずに、人類は衰退した。

 さて、成長したクインは生き残った者達と共に荒野の砦に立て篭もり、作物を植えつつ、サラマンダーが飢え死にしないかと兵糧攻めを狙っていた。砦の指導者として皆を指揮して秩序を守り、それを侵して勝手に作物漁りに行き、火竜に襲われた者が居ても、聖別されたかの如く白銀に輝く火耐性を持った防護服(ドイルさんが着てたアレだ)を持って助けに行くその精神から、職業(クラス)に当てはめると司教(ビショップ)と考えられる。自作のお祈りを唱えさせたり、スターウォーズごっこで子供達を楽しませたり、馬に乗って支援魔法の付加(レーダー装置の為の三脚立て)を行ったりする点からも、妥当だろう。

 尚、彼が司教である事は、ラスボス戦における重要な要素なので、少し覚えておいて貰いたい。

 そんなクインの元に、戦車と軍用ヘリに乗った屈強な戦士達が訪れる。彼等を率いるのはヴァンザンという、邪神が復活したドミナリアの危機を救い、後に同名の宗教を打ち立てた伝説の男に髭を生やした様なナイス・アメリカンだ。全身に掘り込まれた刺青、ノースリーブのジャケットから伸びた逞しい腕、何よりメインウェポンが戦斧である点から、その職業は明らかに戦士(ファイター)である。高い戦闘能力を誇る竜殺しの英雄である彼は、昔で言えば蛮族だが、部下達の死に怒り、涙を流し、反目するクインであってもその能力を評価し、酒に見せかけて水を入れたフラスコを掲げる=絶えず素面で真面目を志す勇者でもある。感情を殺し目的を遂行しようとする事も出来、はっきり言ってクインよりも人間的には上だろう。

 クインは急進的に事を進めようとするヴァンザンと争いながら、その部下の一人、ネットガンによりサラマンダーを封じまた囮として敵を引き寄せる滑空兵集団”天使達”をヘリに乗って運ぶ操者で今作のヒロインに当たるアレックスと接して行く。彼女は、上二人と比べると余り面白味が無い。口では強気な事を言ってヴァンザンに従っているが、実際は女性的な弱さを抱えた存在である。職業はヘリを愛馬とする騎士(ライダー)で、その為、ヘリから降りて戦う後半では殆ど目立った活躍はしない。勿体無い。

 さて、この間にヴァンザンとその愉快な仲間達は、先に上げたレーダー支援と天使達の活躍により、サラマンダーを一匹打ち落とす事に成功する。この場面こそが肝で、先の大暴れに期待していた人間はこの辺りで燃え分を補充すると宜しい。そしてこの倒したサラマンダーの死体を元にして、クインはラスボスの情報(サラマンダーは雌多数且つ雄一匹で、こいつさえ倒せば戦は終わる)をアレックスより聞かされる。

 その雄サラマンダーを倒すべく、火竜の巣と化したロンドンへヴァンザン達は向かうが、通常の十数倍の体格と、恐るべき炎の息吹(ブレス)で、ラスボスの風格ばっちりに襲い来る雄マンダーにあえなく返り討ちにあってしまう。というか瞬殺「今のはベギラゴンではない、ギラだ」と言わんばかりの一撃には、雑魚はこのサラマンダァ容赦せんというラスボスの心意気を感じさせてくれる。昨今弱体化が騒がれて等しいラスボスだが、やはりこれ位の無茶な強さは欲しい所だ。

 更に、ボスの割りには仕事熱心にも彼等の匂いを追って砦まで侵攻した奴は、備蓄は焼き払い、陣地は粉砕し、クインの親友までも報復の犠牲としてしまう。

 ここで日和見主義だったクインも、その怒りに奮い立ち、打倒サラマンダーを誓うのである。

 こうして雑多な火器と戦斧で武装したクイン、ヴァンザン、アレックスは、パーティが要人暗殺=ラスボス撃破の為に少数で構成される様に(尤も、戦える人間は先の攻撃で彼等しか残っておらず、致し方の無い選択ではあるが)三人のみでラストダンジョン・ロンドンへと向かう。

 予断だが、ロンドンは漢字で倫敦と書くが、明治時代には龍動とも書いたという。

 数百の火龍が鳴動する都・ロンドンに到着した一行は、かつてクインがサラマンダー復活と実の母親の死を見届けた地下坑道を通り、市街中心部へと向かう。この辺りに見られるある種のご都合主義も、やはり演出的には良くある点であり、またラスボス戦闘前に逃げながら奥へ行くのも良くやった事だ。

 そして中心部について、遂にラストバトルの開始である。

 因みにこの時点でのパーティの装備は、クインがライフル一丁、クロスボウ一丁、火薬付き矢一つ、水入りフラスコ一つ。アレックスがこれのボーガン無し、ヴァンザンが追加で戦斧装備という所で、千二百度を超える息吹と飛行能力を有する巨体を武器と成す雄マンダーとの戦力差は甚だ著しい。何せ人間側初期装備みたいなものだから。しかし、その息吹を発する器官は天然の火薬庫で、一か八かそこに矢を撃てば倒せるという状況でもある。チェーンソーと神の関係と言えば、解り易いだろうか。

 そこでばらばらの場所から攻撃するという陣形を取る事を決めると、三人は一気に散会、隙を伺う。そこでヴァンザンは鉄塔に登り、頭上からボスへ向けてクロスボウを叩き込むも、直前の息吹で防がれ失敗。覚悟を決めると、伝説の竜騎士カインもかくやの跳躍を見せて、決死の薪割ダイナミックを叩き込もうとするが、それをあざ笑うかの様に発動した見事なカウンターの前に、あえなく倒れてしまう。

 このヴァンザンのシーンは今作の名シーンの一つに数えていいだろう。彼は鉄塔から逃げる事も出来た。銃で戦う事も出来た。だがあえて飛んだ、一歩も引かず。

 死んで行った部下達の為にっ。

 こいつだけはぶちのめすっ。

 俺達人間を舐めるなっ。


 あのジャンプにはそんな、人間賛歌が確かに篭っていた。カウンター食らったけど。

 さて、残された二人は、それでも奴を倒そうと必死に足掻く。クインが、ベールに付いて回る技能・うっかりを発動し、矢を落とすという醜態も見せるが、アレックスと合流、彼女の囮によりラスボス撃破の必須アイテムを再度手に入れるというイベントを経て、ついに宿敵との最後の戦いに赴く事に。

 武器はある。だが相手はサラマンダー。クインは仕留められるだろうか。ヴァンザンは失敗したというのに。

 だが、彼の職業を忘れてはならない。彼は司教である。その前職は何かと言えば、銃と刀を駆使して並み居る敵をぶちのめし、世界を覆した最強の僧侶(クラリック)だ。アーサー王程では無いが、伝説クラスの存在であり、そんな彼が、こんな図体のでかい相手の急所を外すへま等、うっかり以外で、する訳が無い。

 開かれる顎。吸い込まれる大気。その一瞬の隙目掛けて放たれた火矢は狙い逸らす事無く――

 それから数ヵ月後。見事ラスボスを撃破したクインとアレックスは、名誉の死を遂げたヴァンザンの戦斧を形見に荒廃した土地を復興させる新たな戦いへと乗り出して行くのだった。彼の勇気を胸に秘めて。

 聊か長くなってしまったが(同様の趣向を持って書いたトム・ヤム・クンよりも遥かに長い)かく言う訳で、今作『サラマンダー』は現代を舞台としたRPGであり、そう捉える事によって色々な点が納得出来ると思われる。微妙だったと言う人も、そういうものだと言う事を念頭に置きながらもう一度見れば、なかなかに良い作品だと思うのだが、如何だろうか。後普通にCGのレベルは(B級作品の割に、だが)高いから、未見の人もお勧めだ。

 尚、RPG映画としてはD&Dの特に二作目もまた素敵RPG映画なので、一緒に推挙しておこう。
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