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 この記事のタイトルを見た人間は見るBlogを間違えたか、或いは理は何時の間に子持ちになったのだろうと訝しがるかもしれないが、真剣に視聴した作品である。スクライドだードラゴンボールだーと巷で大評判の最終回(違います)バイキン黒騎士や、このMAD(要ニコニコ)が余りに格好良かったので、思わず借りて来てしまった。案の定、借りる時、バイト先の女の子にアンパンマン?と問われたが、気にせず見る。
 さて、アンパンマンといえば、昔テレビや絵本で何度も見、一昔前だと朝早くに起きて何も見るものないからと時々見たものであるが、こうして劇場版をちゃんと見るのは初めてである。スペシャルかビデオレンタルかで、断片的に見た記憶はあるのだけれど。

 だから他の劇場版を知らず、これのみを見ていう訳だが、断言しよう。この映画、一時間に満たぬ短い時間ながらも、脚本から作画、音楽に至るまで大人の鑑賞に堪えられるレベルまで纏め上げた作品であると。もとい、視聴対象年齢の子供には絶対解らないだろうという部分もある。テーマ的にも大変しっかりしたもので、正直かなり驚くと共に、そのラストには感動した。

 それの何が秀逸かといえば、ヒロインであり主人公である生ける人形の少女、ドーリィである。何というか、この設定だけで理的にはビンビン来るものを感じた訳だが、実際見るとそれ以上の存在であり、ある意味自分が常日頃から思っている事、作品の中でやりたい事を表現している。

 ドーリィは、アンパンマンと同様、いのちの星を受けて魂を宿した人形であり、いわば兄妹の様なものなのだが、その当初の在り方は、彼とは似ても似つかぬものである。

 かつての主に捨てられた過去を持つ彼女は、願いによって動ける様になると、昔の自分がそうされていた様に他者を省みず、動ける、生きているという自己のみの喜びを味わう為に行動する。周囲には少なからぬ迷惑を掛けながらも、生きるという事は自分の為なのだとその行いを正さず、アンパンマンの行為を偽善と吐き捨てる。所詮自らを良く見せたいだけなのだろうと。

 パンの存在意義は、他者の空腹を満たす事である。対して人形の役割は他者に愛でられ、喜びを与えるものであり、自己中心的なものと言える。何せ、役割を全うしている間は、決して滅びる事が無いのだから。滅びる為にあると言ってもいい、究極の自己犠牲の体現者であるアンパンマンと対になる存在がドーリィであり、そして行動の上では、動ける様になっても尚彼女は人形のままなのである。

 故に、彼女の中のいのちの星は、アンパンマンの様に馴染む事無く、どんどん消失して行く。更に手前勝手な行動に他者からも相応の態度を返され、次第に独りになって行くドーリィ。そして紆余曲折の果てに、孤独の中海の藻屑と化そうとしていた彼女を救ったのは、偽善者と罵ったあのアンパンマンであった。

 この作品のテーマであるアンパンマンマーチの一節、『何の為に生まれて、何をして生きるのか』をアンパンマンの中に見出し、ドーリィは己の以前の行いを深く反省する。そして最後、暴走するバイキンマンのロボから彼女を守るべく攻撃を受け止め土塊と化した(新しい顔が受け入れられず、一瞬で土色に変わった後、地面に落ちて笑顔そのままに罅割れ、崩壊する絵は、トラウマモノであろう)アンパンマンに、己のいのちの星を明け渡すのである。

 フィリップ・K・ディックの名作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』にて、人間とアンドロイドの違いは、他者との感応能力、つまり共感であると語られた。命を捨てて、唯の人形に舞い戻って行く彼女が見せたそれは、共感による自己犠牲の精神であり、ここにて初めて、彼女は人形から人間へ、魂を持ち、生を謳歌する素晴らしき存在になったのである。

 そうして、彼女の魂を受け復活したアンパンマンによる板野サーカスからのシャイニングアンパンチにより見事バイキンロボは倒れ、そして皆が悲しみに沈む中で、奇跡が置き、その後の日常が、日々を確かに生きる者達の姿が描かれて、この作品は終わる。

 かく訳でこのドーリィの物語は、日頃兎角言われがちなアンパンマンの在り方へのストレートな疑問と解答であり、自己犠牲の本来の意味を知らしめるものである。改めて、これは大人が見るべき作品であると思う。アンパンマンのヒーロー像を否定する者達に、特に見てもらいたいものだ。安達祐実も結構頑張っていたと思うぞ。

 と、凄いべた褒めだが勿論残念だった所もある。SEがテレビ版と同じで、緊迫した場面で少し拍子抜けしてしまったのが一つと、それからセミレギュラー的なキャラが、丼三兄弟以外出てこなかった事が一つだ。ロールパンナは中盤良い感じに絡んでいた癖に一体何をしていたのだろうラスト時。

 また、熱血系のMADから入ると、シャイニングアンパンチ時に流れるBGMが、アレンジしたマーチの重厚な男声合唱である事に非常に違和感を覚え、最悪笑ってしまうかもしれないので、少し注意が必要である。

 ともあれ、素晴らしい作品である事に変わりないので、もう一度、是非ご視聴を、と言って置く。
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