上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 何の事前情報も無しに、とは言え元来俺が何かを見る時にそうである様に、タイトルやジャケットを持って、最初からその様なものだろうと希望し、目星を付けて借りて見た作品である。要するに、アーティスティックな作品を見たくなったのである。自分の本懐はこちらか、と一抹の誤解を抱きつつ。

 と、その意味で、今作『ディナー・ラッシュ』は、期待を裏切らない出来の映画だった。

 物語はニューヨークにある有名イタリアンレストラン(リストランテ)の一夜を描いた群像劇である。基本的にリストランテとその周辺から一歩も出る事無く、癖の強い登場人物が入り乱れて話が進んで行く。そして絡み付いた事情は絡み付いたまま、特に顕著な解答を提示する事無く行き着く所へと行き着きついて、最初の決め手が、最後の決め手となって、エンドロールが降りて来る。サスペンスに分類されていたが、逼迫した空気は無く、というか空気自体が拡販され続けていて、最後にぴたっと止まる様な感覚だ。

 個々としては何とも捉え難く、またテーマ性も何も無い映画である。しかし、その混沌とした中に、きっとある筈の何か一本の芯が見出せる。勿論最初と最後をずばりと締めたからに他ならないが、そんな味や匂いが伝わって来るのだ。今作はその様な映画で、その様な映画を望み、また好いてもいる身としては、実に愉しむ事が出来た。

 で、その何かを導き出す為の演出が凄く良い。映像とか音楽とか、登場人物とか(個人的にパブのウェイターとウォール街から来た男がお気に入り)。その中でも映画を通して顕著に輝いていたのが、料理である。殆ど全面に押し出される事は無いにも関わらず、カフェの前を通って聞こえて来る人の声の様に絶えず意識に残り続け、そしてここぞという所でさらりと、優美に焦点が合わせられる。実に見事だと言うより他ならない、いや、もっと端的に言ってしまえるな。そんな修辞など必要無くて、一言こう言ってしまえばいいんだ。この野郎なんて美味そうなんだ畜生めが、と。

 まぁともあれ、個人的には結構な当たり作だった。多分何処ぞのジョニーも気に入る類だと思うので、また大学に持って行って、皆で鑑賞したい所である。
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://tasogaremignon.blog79.fc2.com/tb.php/767-1360c803
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。