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2006.12.05 赤天
 戦場で出会った二人の男 金髪のLaurant 赤髪のLaurant

 金髪の「性欲を持て余す。」 赤髪の「やらないか。」(声優が繋がった挨拶その2)

 Guten Abend,王・絶対にこのネタは他所でも使われたに違いない・里である。まさに王道だ。

 さて今回は銀雨ことシルバーレインにて、暁徒の友人である新城誠君に登場願ってSSを書いて見た。まぁこう言うのもありだろう、と言う所かな。
 太陽が沈み行く時間。それは全てが赤く染まる時間である。
 銀誓館学園の校舎もまた…その名とは裏腹に…赤く彩られている。
 小学生から成る多くの生徒達を抱える為に、無数のキャンパスを持つ学園の、ある校舎の屋上。
 そこの、やはり赤く染まったコンクリートのタイルに、一人の学生が寝そべっている。
 黒いコート状の冬用制服は高校生男子のもの。服装に関する校則の甘いこの学園において、個を演出する為か、上から二つ程ボタンを開け、肌蹴た胸元からは青紫のシャツが覗けている。前に細く数束垂らしつつ、後ろに撫でられた黒髪の下には、夕焼けにも負けぬ色合いを讃えた紅い眼鏡が鼻先にちょんと乗せられていた。
 そして、右手には黒い棒状のモノが摘まれていた。
 先端に火が付き、黄昏の空に向かって白い煙を昇らせている。
 塩森暁徒である。
 どう見ても校則、それ以前に法律違反の未成年の喫煙であるが、この場において咎めるものは誰も居ない。
 数年前からの嗜みを楽しみながら、彼は眠たげな眼でぼぅっと空を眺めている。
 辺りにはここより高い建物は無く、ふとすればそのまま堕ちて行きそうな空を眺めながら、彼は思う。
(ここの空は……あそこの空とは違うな。)
 途切れ途切れに流れ行く赤く染まった雲に眼をやりながら、ふぅと鼻から紫煙を吐き出す。
 煙はゆらゆらと立ち上って行く前に、彼の眼前に漂い、視界を曇らす。
 その光景は、かつて彼が居た独逸の空を思い出させた。
 フランクフルトの生まれである彼の独逸での暮らしは、実質五、六年程である。
 しかしながら、その年月は独逸と言う国を彼の原風景としていた。
 よく、何処に居ようと空は同じ、と言うがそれは嘘だ。
 国が違えば、空は変わるものだ。
 もう季節は12月だ。
 降臨節に入り、四週間後のクリスマスに向けて、普段は派手では無い独逸も、すっかり浮かれムードだろう。
 覚えているその空は広がる雲の灰色と、降り行く雪の白で覆われていた。
 勿論それだけでは無いのだが、彼の中ではそう成っていた。
 実際向こうであればこの時刻に既に辺りは暗く、幾ら着込んでいても外で寝転がって煙草を吸う等出来まい。
(この頃は確か……年の瀬のクリスマス市に行ったっけな。親父にお袋、姉貴に美代……皆一緒で……。)
 黒い煙草を口に咥え直し、紫煙を肺腑に落とし込む。
 思い浮かべたのはかつての記憶。今となってはもう決して見る事の出来無い、在りし日の風景……。
 思考が感傷的なのは、この空の色を反映してだろうか。
 再び吐き出された煙は、溜息にも似ていた。
「やっぱり、君だったか。」
 咄嗟に声を掛けられて、暁徒はがばりと上半身を起こした。
 屋上に至る入り口の丁度上にいる中で、下の方から聞こえたその声は二次成長に至っていない少年のもの。
 予想に違わず、梯子を登ってひょっこりと現れた声の主は、金髪の美少年である。
 好奇心で大きく開かれた碧眼は南方の海。短めに切り揃えられた金髪は小麦の海。
 異国の香りを漂わせる顔は白く、その頬は赤く、紺の小学生男子用冬季制服を着こなしていても、少女に見える可愛らしさだ。
 彼の名前は新城真。
 暁徒が現在所属している結社「Laboratory」の一員である。
 同時に、年は離れているが、信頼を寄せ合う友人でもある。
「あー、どうしたい新城誠。こんな所にわざわざよ。」
「ん、反対の校舎を歩いてたら人影が見えてね。煙が昇ってたからもしかして、って思ったらやっぱり君だったのさ。」
 言いながら梯子を登り終えると、彼は暁徒の横に座った。
「で、折角だから部活動前の時間潰しに立ち寄った訳だよ。」
「ふーん……まぁいいがね。」
 暁徒は、素っ気無くそう応え、顔を逸らしつつ紫煙を吐いた。
 いたいけな少年が煙を吸うのを防ぐ為の気配りと言う当然の理由だ。
 が、それだけでは無い。
 普段軽薄なる仕草を取る彼とは裏腹な思考、それが表情に出ていないかを危惧した為である。
 自分の弱さを見せる事を、この男は極端に嫌っていた。
 それを知ってか知らずか、誠はひょっこりと暁徒の顔を覗き込んだ。
「あー、何だい?」
 紅い眼鏡越しに、青い瞳を見つめながら、暁徒が訝しがる。
「いやぁ、何時もよりちょっと暗いなって思ってね。何か悩み事?何なら相談に乗るけど……あ、もしかして依空クンの事かな?」
 済んだ目で見返しながら、誠は少し意地の悪そうな、しかし芯に相手を思いやる笑みを浮かべる。
 勘がいいと内心舌を巻きながら、悟られぬ様口元を歪めて暁徒は応えた。
「んな訳無ぇだろ。あれだ、時はどんどん進んで行く。悩む暇があるなら行動するね俺は。後依空は関係無ぇ。」
「それならいいんだけどね。君はそうやって煙草吸ってる、ダンディな姿が似合ってるから。」
 褒められてるのかいないのか解らない言葉に、そりゃどうも、と苦笑いを浮かべながら、
「何ならお前も吸ってみるかい?」
 懐に入れた黒い煙草ケースを取り出し、すっとその口を誠に向けて差し出した。
 無論、多分に冗談が混じっている。
 受け取るつもりで出した訳では無い。
 案の定、彼は笑って頭を振った。
「遠慮するよ。犯罪者には成りたくないしね。それに、僕がダンディなんて嫌だろう?」
 言われて、暁徒は『ダンディな』誠を想像した。
 元々ダンディとは洗練された或いは伊達な、要するに格好の良い事を示す。
 が、その格好良さは所謂ハンサムとは違うニュアンスを人々は想像するだろう。
 ご多分に漏れず、彼が想像したダンディも、それであった。
「あー……確かに、な。出来るなら、ずっとそのままでいて貰いたいね。」
 でしょ?と誠は笑い、
「まぁこのままなんて無理だけどね。嗚呼美しいこの僕も、何時かはおじさんになっちゃうのさ。」
 さめざめとそう続けた。
 そりゃそうだ、と暁徒も口元を吊り上げ、共に笑い合う。
 笑いながらふと、彼は先程の続きを思い返した。
 彼が見てきた空は、如何なるものであろうか、と。
 その過去については何も聞いた事は無い。
 が、自分のそれとは違うものであろう。
 紅い眼鏡に一瞬見えた幻影を消す様に、じゅっと煙草を床に押し付けて、暁とは立ち上がった。
 そして突然立ち上がり、きょとんと見上げる誠の頭を、煙草を握ってない左手で撫でた。
 小さな風でなびく金色の髪は触り心地良く、抗う事無く指の間を流れて行く。
 何故そうしたのか、暁徒自身も良く解らなかった。
 ただ、何処か自分と似ているこの少年が、自分と同じ空の下に無い事を願ったからかもしれない。
 誠の方は腑に落ちない様子だが、好きなのか慣れているのか、特に抵抗せず撫でるに任せている。
 暫くしてから、彼はあの少し意地の悪い笑みを浮かべながら、こう言った。
「暁徒クン、いけないなぁ。幾ら僕が可愛いからって、大事な恋人を放って浮きぃぃぃいたたたたっ。」
 最後の言葉が済む前に、撫でていた左手が、米神に押し込む様にぎちりと頭部を握り込んだ。
「誰が甲斐性無しの浮気者の穀潰しだって?」
 俗にアイアンクロウと呼ばれるプロレス技を決めながら、これも勘の良さの表れかね、と暁徒は思った。
 もしそうだとしたら大したものであり、その気遣いには感謝を示したい所だ。
 だから彼はそれに応えようと、普段通りの軽さを持ってして、さらに指に力を入れた。
「だ、誰もそんな事言ってないんだけどねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「問答無用だ犬養毅っ。」
 ちょっと涙を浮かべる誠の頭に、暁徒の指が力を増して、食い込んでゆく。
 折り重なって揺れる二つの影を射す赤い夕日は、地平線の彼方に沈んで行き、やがて静かに幕が下りた。
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