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2006.12.06 穴暗
 ある朝雨の朝…いつものように少女が目を覚ますと…寝具の横には優しい父親…

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 (声優が繋がった挨拶その3)

 Guten Abend,王・スティーブン・パパ・ザ・セガールだったら書の魔獣だろうと何だろうと余裕で勝てると思う・里である。ノアやアビスに爪の垢を煎じて飲ませたい男であるな。

 今日も今日とて暇なのでSS書き。暁徒GTへ行くの巻。出演は皆の回復係、自他共に認める薬草、たっちゃんこと七枷達也である。何だか解説役となっているが、まぁ本人メイン張るの嫌そうだから構うまい。と勝手に思っておく。

 友人に、「文が重くて、テンポが削がれる」と言われたので、今回は戦闘シーンを割りと頑張ってみたのだが、何だか何時もと変わらない気がする。テンポ良い文章と言うのは難しいな。
 響き渡る足音に眠りを覚まされ、亡霊達は立ち上がった。
 ここはかつて『アザレア国際交流センター』と呼ばれた建物の廃墟、その地下。
 コツン、コツンと廊下に響く足音は二人分と言った所。
 交流センターと呼ばれながらその実恐るべき犯罪に使用されていたと言うその地下は、無数の小部屋、入り組んだ廊下で構築されている為、亡霊達から侵入者達を見る事は出来ない。
 だからと言って彼等を生かして、そして『逝かして』帰すつもり等亡霊達には無かった。
 全身に無残な痣を持つ少女の屍が、ゆらりと歩きながら、部屋を通って廊下に出る。
 後には申し分程度に衣服を纏った腐敗死体達、百合の如く白く悲しげな女性が続く。
 ちょっとした、季節外れなハロウィンの仮装行列と言う風袋である。
 その行列の先頭を行かんとする少女の体が、廊下に出たと共に、吹き飛んだ。
 どちゃりと言う音と共に壁に当たると、彼女はずるずると倒れて動かなくなる。
 口や鼻、耳に眼から腐敗した液体がどろりと毀れて、廊下に流れて行く。
 行列を成す者達は、動くものを追うと言う本能に急かされ、流れを眼で追いかけた。
 やがてぴちゃんっと、汚水の上に乗せられる黒いブーツ。
 上の方へと眼をやれば、映るのは黒いコートに、紅い眼鏡。
 そして、肩に乗せながら、右手で握るのは黒い片刃の繋鎖チェーンソー剣。
 薄暗い廊下では、その全体は殆ど影に包まれて鮮明では無いが、どうやら男であるらしい。
 ぴしゃっと一歩前に踏み込みながら、男は残った左手を眼前に掲げて、中指を立てた。
 掛かって来い、と。
 嘲笑と侮蔑を込めて言い放ち、べろりと舌を出しながら。
 亡霊達の光無い眼に闇が灯り、怨嗟のざわめきが空気を揺らす。
 この男が、同胞に、傷付いて傷付いてこれ以上傷付けない彼女の体に、更なる傷を付けたのは明白であった。
 先頭に立つゾンビが、匂い立つ唾液と共に咆哮を上げながら飛び掛った。
 男も、それに合わせて走り出す。
 彼等の間に開けていた数mはあっと言う間に埋まり、ゾンビの腐った右手が男に迫る。
 瞬間的に脚を曲げ、男の体が沈む。
 柄に付いた硬い引き金を強く握ると、鍔に付いた球状動力部が高速で回転。
 刻まれた模様が眼の如く浮き上がり、繋鎖剣の刃がけたたましく廻り出す。
 さらに一歩踏み込んで、体を元の高さに戻しながら、男は刃を翻し、空しく虚を掻き乱しただけのゾンビ目掛けて斬り込んだ。
 左手はただ添えるだけで、体制移動と同時に下から一気に振り上げる。
 獣が得物を噛み砕く音が、ガガガガガガッと連なって木霊し、ゾンビの体が二つに断たれた。
 左右に分かれたゾンビの間を通り、男は直ぐ後ろに居たもう一体のゾンビへ斬り込む。
 ゾンビはガンッと繋鎖剣に向けて左手を突き出し、剣線を軽くいなす。
 頑丈な骨を容易く砕き斬った力は、逆に男の体を引っ張り、体制を崩す。
 隙ありとばかりに叩き込まれた一撃を中腹に喰らって、苦悶の声が男の喉より漏れる。
 紅い眼鏡の裏から黒い瞳がぎちりと細まった。
 素早く左手で柄を握り込み、刃を返して男は逆袈裟に繋鎖剣を振るった。
 ズンと言う硬い手応えが男の両手に伝わり、今にも放れそうになる剣を強く握りながら、腰を廻して体重移動。
 抗いきれぬ力を受けて、ゾンビの上半身だけがグルリと旋回、後ろに向きながらぐしゃりと倒れる。
 サッカーボールの様に転がり落ちた頭を踏み抜きながら、男はさらに先へと踏み込む。
 黒い瞳が揺れ動き、捉えた亡霊は残り一匹。
 白亜のローブを浮かばせて、何処からとも無く伸びる鎖に繋がれた女性の霊。
 閉じられたその両目からは、つぅと涙は止め処なく流れ、床に雫を落とす。
 ぽたりと水滴が弾けたと共に、女霊の口が湯船の栓を抜いた時の水の動きに似て、空気を飲み込む。
 風船の如く膨らんだ女霊の姿に、男の体は強張り、歩む脚が立ち止る。
 左手を刃の腹に押し付け、右手首をくんと捻り、繋鎖剣を顔の前に構える。
 一瞬の間を置いて凄まじい空気が女霊の口から放たれ、衝撃波が廊下を走る。
 男は剣を楯にして、吹き荒れる風に耐えながら前の方へと重心を傾ける。
 窓が砕け、そこからさらに細かい破片となった硝子や小さな塵が舞い、男の肌に無数の裂傷を刻み付ける。
 だが全ての空気が放たれた時、男はその場で踏み止まっていた。
 繋鎖剣を振り被り、萎れた百合の如く無防備な女霊に突撃せんとした時、青い火花が廊下を走った。
 はっとして男が身を翻した瞬間、身を焼く電撃が彼の身体を貫いた。
 ぐふっと片膝を付く男の眼が、先程自らが蹴り飛ばした筈の少女の屍を見た。
 両腕に青い電流を迸らせ、汚水に塗れながら、少女はにしゃりと微笑を浮かべる。
 その笑みが、ぎちりと凍り付いた。
 彼女の脚に、何時の間にか燃える様に紅い、正しく焔の茨が纏わりついていた。
 必死になって取ろうとするも、茨は取れる所かますます食い込んで放れない。
 脚だけで無く、そこから登って腰、腹、背中と茨は縛り上げてゆく。
 とうとう茨は首にまで至り、顔すら覆い尽くす。
 最早紅い揺り籠となった中で、彼女はパンと言う音を耳にした。
 茨の隙間から見えたのは、浜辺に打ち上げられたビニール袋の如く、壁に叩き付けられた女霊の姿。
 そして既に自らの眼前に立つ、紅い眼鏡に黒衣の男の影。
 失った筈の感情であるが、体に刻み付けられた生前の恐怖は覚えているのだろう。
 腹部の辺りに感じる重み、大上段に構えた繋鎖剣、視界に被さる様に立つ男。
 その姿は正に恐怖の魔王。
 少女の甲高い悲鳴と、魔王の咆哮が上がったのはほぼ同時であった。

「……無様だな。」
 来た方の廊下から来る別のゴースト達と戦いながら、もう一人の男、七枷達也はぽつりとそんな感想を呟いた。
 彼が見ているのは紅い眼鏡に黒衣の男、塩森暁徒。
 紅いレンズには灰色の汚水が滴り、黒いコートには至る所に汚れ。
 本人自身も細かいが少なく無い傷を折っており、荒い呼吸から目に見えて疲労が伺える。
 達也はこの男の妹の知り合いであり、その縁があってこうしてゴーストタウンで共に戦っている仲間だ。
 だが、何時見ても彼は思った。
 この男の戦い方は無様だ、と。
(俺ならもっとスマートにやれるのだが)
 それは嫌味でも何でも無く、ただ事実である。
 余所見をしている最中に突進して来た、肩に刃を持つ剣オオカミに対してしゃがみ避け。
 がら空きとなった腹に向けて右手で握った黒い刃を立てると共に、ひゅんと左手を翻す。
 見えない糸に操られる様に、袖から出た装飾剣が空を飛び、走り来るもう一匹の狼に向かう。
 黒刃が、装飾剣が、一瞬で二輪の赤黒い華を空と地に咲かせた。
 二つの刃を手元に戻し、着込んだ男子高校生冬用制服を正しながら、達也はふぅと立ち上がった。
 傷も無ければ汚れも無い、一切の動きに殆ど無駄が無い、華麗とも言える剣技である。
 暁徒が安定感に欠ける繋鎖剣に半ば振り回され、無駄に惨状を産むのとは雲泥の差だ。
 辺りに広がる惨劇の証が、文字通り銀の砂に風化して行く中、達也は暁徒を見た。
 背中越しである為、その表情を見る事は出来ない。
 ただ、肩に掲げた繋鎖剣『魔王』Erlkoenigが美味しく頂いた餌のカスで汚れてるのが見えるのみだ。
 或いはそれもわざとなのかもしれないな、と達也は思う。
 暁徒の両親はゴーストによって殺されたと言う話だ。
 親の仇ならば、あの様な凄惨たる手段を持って、殺害、いや既に死んでいるので再殺するのも解る話だ。
 ただ、本当にそうであるかは、背中を見ているだけではやはり解らない。
 やれやれと頭を振りながら、達也は暁徒の元に来た。
「怪我をしているな。回復しておこう。」
 すっと袖に手を引っ込めて取り出せば、握られているのは一枚の治癒符。
 ぎゅっと力を込めて握り締めながら、符を暁徒へと向ける。
 崩した漢字が刻まれた札は、ぼぅと青白く輝き、光の粒子となって彼の体を覆う。
 至る所にあった傷が見る間に治り、荒れていた呼吸が正常へと戻った。
「これでいいだろう。」
 すっと手を戻しながら、達也は暁徒を見た。
 ふぅ、と一拍の間を置いてから、暁徒は振り返った。
「おー、ダンケダンケ、助かったぜ。」
 歯を剥き出し、口元を吊り上げた笑みを、それは嬉しそうに浮かべながら。
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